気分の落ち込みが普通以上……「適応障害」とは

仕事や学業、日常生活でのストレスや環境変化によって、緊張を感じたり、不安になったり……
「ストレス社会」とすら言われる現代では、こうしたストレスは誰しもが経験するものになっています。
しかし、あまりに不安感が強くなったり気分が沈んだりして、体調を崩してしまったり、お仕事や学業を
続けられなくなってしまったり……日常生活の障害となってしまうほど敏感になってしまったなど、
ご自身だけで不調を回復できない「適応障害（ストレス性障害）」と呼ばれる状態があります。

「適応障害」とは？

適応障害は「うつ病一歩手前」と言われる事も多く、気分が沈んでしまったり落ち込んでしまったりと、
一見するとうつ病のように感じられる事もありますが、最も大きな違いは「ストレスの原因がハッキリしているかどうか」という点。たとえば……

• 学校や職場、家庭環境における「人間関係」
• 進学や就職、昇進のほか、結婚や離婚といった「人生の転機や環境の変化」
• がんなど、心身ともに負担を感じるような「病気」

転職や新しい人間関係、引っ越しや新しい環境での生活など、もしもご自身で「これがあったから気分が落ち込んでいる」と思えることがあれば、
その原因を取り除いたり、周りの手助けを受けるなどで環境に対応出来るようになることで、気持ちが落ち着いたり病状を回復出来る段階かもしれません。
ストレスというと「悪い事」と思われがちですが、結婚や昇進、進学など、はたから見ると「良いこと」が原因となる事もあります。
人間関係を含め、環境が変わった事が原因でストレスを感じ、本人の耐えられるラインを超えた結果として心身の不調に繋がっているものが、
「適応障害」とされる状態になるのです。これらの事もあり、一時的にでもその場から離れる、
例えば仕事中は気分が落ち込んでいても、仕事から離れると気分が戻ったり、自分の好きな事をしている時には楽しむことができたり、
そういった状態も、また適応障害の例となります。

こうした内容から、医療機関などで治療をする事が望ましい状態ではあるものの、「本人の性格の問題じゃないか」「甘えているだけではないか」と思われてしまう場合も多く、またそう思われるのを恐れて相談が出来ない状態に陥ってしまうことも多くあります。この状態が長引いてしまうと、うつ病を含めた別の病気に発展してしまう事もあるので、生活に支障が出ていると感じた時には、ためらわずに専門医に相談してみましょう。

適応障害は「薬を飲まずに治すこともできる」

適応障害は、「ストレス因子（ストレスの原因）が始まってから3か月以内に症状が始まる」「ストレス因子がなくなると6か月以内に回復・改善する」という特徴があります。このため、いわゆる「うつ病」のように様々な薬を必ずしも飲む必要がなく、大事なのは「ストレスの原因を特定して、それを解消する」というプロセス。

いずれも「気分の落ち込み」という症状は共通しているものの、「今まで興味があった、楽しかった事にも無感動になる」といううつ病の症状に対し、適応障害は「楽しい事は『楽しい』と感じられる」という段階にあります。これが「うつ病一歩手前」と呼ばれる点でもあり、早期に原因を見つけて対処する事で、長引かせずに回復できるものです。

医療機関で相談するのはもちろんですが、ご自身が「何にストレスを感じているか」を改めて確認し、その原因を取り除いたり解消する方法を考え、できる事から進めてみましょう。

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